7月6日にUS Homeland Security(アメリカ国土安全保障省)から発表がありました。
2020年の秋学期以降、アメリカではオンラインだけの授業を提供する大学に留学を希望する海外留学生には、学生ビザを発行しない場合がある旨の方針が出されたのです。
ただでさえ、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、アメリカへの留学を諦めることを検討していた方々が多い中で、アメリカ留学を控える決め手となりそうな話です。
今回は、今日までにわかっていることを簡単に纏めてみます。
7月6日にトランプ政権から出された方針
7月6日にUS Homeland Security(アメリカ国土安全保障省)からの発表には以下の通り記載されています。
The newly issued SEVP guidance for the fall covers several scenarios: students attending schools operating entirely online, schools operating under normal in-person classes and schools adopting a hybrid model (with a mixture of online and in-person classes). Please note that F and M students attending schools operating entirely online may not take a full online course load and remain in the United States. DHS plans to publish these procedures and responsibilities in the near future as a Temporary Final Rule in the Federal Register.
https://studyinthestates.dhs.gov/2020/07/read-an-update-on-federal-guidance-for-the-fall-semester
(訳文)
新たに発行された秋学期のためのガイダンスでは、いくつかの類型を記載しています。具体的には、オンラインでのみ運営されている学校に通う生徒、通常の対面式クラスで運営されている学校、ハイブリッドモデルを採用している学校(オンラインと対面式のクラスを組み合わせたもの)の類型をカバーしています。 オンラインでのみ運営されている学校に通うFビザおよびMビザの学生は、オンラインの全コースを受講できず、米国に留まることのできない場合があることに注意してください。 DHSは、これに関する詳しいと手順を近い将来、仮の最終的な連邦法令として公開する予定です。
要するに、秋学期以降、オンラインだけの授業を提供する大学に留学を希望する海外留学生には、学生ビザを発行しない場合があるとのことです。
また、既にビザが発行されていたとしても、その効力が認められず滞在資格がないという扱いになるのでしょう。
背景としては、実際にアメリカに滞在して留学生活を送るのであるから、対面式の授業をある程度は受講しなさいということだろうと思います。
オンラインの講義しか提供しない大学で学ぶことは、留学としてはダメだよと、ビザ発行しませんよという話です。
そのため、対面式とオンラインの両方を提供する大学通う場合はオーケーで、ビザを発行しますよ、ということですね。
たしかに、授業がすべてオンラインでは、わざわざアメリカに住む必要があるのかは疑問です。リモートで可能になるなら、それはそれで便利ですよね。
おそらく、そういった考え方もあっての方針なんだと思います。
ただ、個人的には、その裏にトランプ政権のアメリカ人ファーストの考え方が強くあるのだと思います。
トランプは就任当初から、アメリカとメキシコの国境に壁を作るとか、外国人のアメリカ滞在ビザ取得の要件を色んな形で厳しくしたりとか、とにかくアメリカに流れてくる人の数を押さえようとしてきました。
同じ考えに基づいて、留学生であろうとも、外国人に対しては、簡単にアメリカでの滞在ビザを支給しないという方針を貫いたように見えます。
しかし、大学や学生からは、コロナウイルスに感染するリスクを増大させる法案だとして、反対の声が相次いているようです。
留学生への影響
この新たな方針は、アメリカ留学を予定されていた方はもちろん、現在留学中の人にも多大な影響を与えます。
そもそも、この半年間、COVID19の影響で海外留学生の生活は大きく変わっています。
つい先日も、カリフォルニアに社費留学をしている友人と話をする機会がありましたが、外出禁止命令が出ているため、授業もすべてオンラインとなり、飲み会もないと嘆いていました。
また、アメリカやヨーロッパに留学していた友人の中にも、学業や現地でのインターンを諦め、やむを得ず帰国される方も多々いらっしゃいました。
その他留学生へのインパクト
以下のCNNニュース等でも取り上げられていますが、この方針を受けて多くの留学生が今後を不安に感じているようです。


例えば、
・どうにか海外留学生を囲い込むため、オンラインと対面型形式のクラスを半分ずつのハイブリッド型でいこうと検討を始めた米国大学も出てきているため、そういった大学に移ることを検討している大学生
・オンラインのみの講義を提供している米国大学に籍を置きながら、母国でオンラインで通学を継続しようとしても、母国が後進国であり、十分なオンライン環境が整っていないため不安しかない留学生
・現在通っている米国大学ではオンラインの講義しか提供していないため、アメリカに滞在することを諦め、他の国に移ることを検討している学生
訴える大学も? 今後の動きについて
ハーバードやマサチューセッツ工科大学等は、連邦の方針を無効にすべく訴訟を提起したようです。

さすが、アメリカ動きが早いですね。
また、フロリダで一日の感染者が7000人を超える等、感染リスクも高まってきていることから、現地の小中学校等も含めた教育機関の再開にも賛否の声があるようです。
今後の政府の対応や訴訟の動向を見守る必要がありますが、不安定な状態がしばらく続きそうです。
コロナウイルスのために、プランが台無しとなり、悔しい気持ちを持たれている方が多いと思います。
人生台無しくらいの気持ちでおられる方もいらっしゃると思います。お気持ち強くお察しします。自分だったらやっていられません。
ただ、長い人生、チャンスがなくなったわけではありません。
現在、学生の方も、一旦は留学を諦めざるを得なかったとしても、将来社費留学等のチャンスがつかめるかもしれません。
健康に留意した上で、色んな選択肢を見定めましょう。
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