グローバルなビジネスシーンにおいて、外国人とのコミュニケーションを取る中で、悩みを抱えられる方も多くいらっしゃると思います。今回は、外国人とディスカッションする際に、注意すべき点をご紹介します。
日本人若手社員の気になる言い方
昨年の話ですが、アメリカ支社のアメリカ人スタッフと電話会議をしていたときのことです。
後輩の若手社員とアメリカ人スタッフとのやり取りを聞いていたのですが、若手社員の発言の中で、ヒヤッとするものがありました。
それは、アメリカ人の意見に対する次のような発言でした。
“No! No! I disagree!” (違う、違う。私は反対です!)
その若手社員としては、外国人との電話会議に慣れてきた頃からだからか、意気揚々と英語を話す中での発言でした。
しかし、個人的には、この発言を受けた相手のアメリカ人スタッフがどんな顔をしているのか、心配になりました。
なぜなら、外国人、特に欧米人は、相手の意見をはっきり否定しない傾向があるからです。
相手の意見をはっきり否定しない
”I disagree with your opinion”を日本語に訳すと「私は貴方の意見に反対だ」です。
日本人としては、このような発言を受けても、そこまで強く否定されたとは思いません。
しかし、欧米人としては、大変傷つく表現なのです。
なぜなら、欧米では、基本的にポジティブな評価をする文化があり、他人の成果を頭ごなしに否定することはないからです。
日本人同士は、議論の際に、相手の意見をはっきり否定することがあります。
例えば、会社の上司が部下に対し、「私は反対です」と言ってしまう場合があります。
時には、「全然だめ」「ひどい」等と厳しく否定する場合もあると思います。
しかし、特に欧米の人とのやり取りでは、たとえ上下関係があっても、こういった強い言葉で相手の意見を否定することは基本的にはありません。

相手に配慮したやんわりとした言い方とは?
それでは、相手の意見に反対したい場合、どのように伝えればよいのでしょうか。
答えは、やんわりとした、婉曲的な表現を用いることです。
ストレートな言い方を避け、なるべく遠回しに、常に相手への配慮を込めた表現をするべきと言われています。
私が普段、外国人の同僚とのやり取りで意識しているのは、次のようなステップです。
ステップ1.
一旦相手を褒める。
相手の意見に反対の場合でも、”You have great idea”(素晴らしいアイデアですね) と言って、一度相手を褒めます。
ステップ2.
そのうえで、”I think it will get even better if we do…” (でも、こうすればもっと良くなると思う)
と付け加えた上で、自分の意見を述べるという方法があります。
こうすれば、外国人としても自分の意見を否定されたとは感じません。また、こちらの意見をポジティブなものとして受け入れやすくなります。
とにかく注意が必要なのは、相手のアイデアを全否定しないことです。
仮に全く賛成できない場合であっても、
”I understood, but I have a different opinion” (わかります。しかし、私は少し異なる意見を持っています)程度の言い方が良いでしょう。

欧米でのコミュニケーション
外国人は、日本人と比べて、自分の意見をはっきり主張する、そんなイメージがあると思います。
私も、実際にアメリカで仕事をするまではそういうイメージを抱いていました。
たしかに、そういう一面もありますが、それと同時に、彼らは周囲の意見にも十分配慮しています。全く配慮をせずに、言いたいことを言っているかというと、そんなことはありません。
彼らは、それぞれの主義や意見をはっきり持っていますが、伝え方はとてもマイルドなのです。
常に相手に配慮した伝え方をするように心がけていますし、それがマナーとして染みついています。
グローバルコミュニケーションにおいては、相手へのリスペクトを常に心がける必要があるのです。
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